令和7年9月12日(金)
日本の教育界で知らない人はいない 尾木直樹先生 が郡山高校の教育コースにきてくださいました。今回のお話のタイトルは、「教育に携わる者の心 ~教育における優しさとは~」であり、尾木先生の長年のキャリアから、私たち教育コースの生徒たちに、教師の魅力を伝えていただきました。

【尾木先生のご講演から】エッセンスをここにご紹介します。
1. 今、学校は大ピンチ!?
公立学校で 4,739人の教員不足。
1年以上休職する教師は7,000人超。原因は主にストレスによる精神的な病。
先生になりたい人が少なくなっている。
昔は教育実習を経て企業内定を辞退してでも教師になる人が多かった。
2020年代以降は予備校・ベネッセなど民間教育に流れる人が増加。尾木ゼミでも「誰も教師にならない」年があった。

2年和奏「少子化と言われる中で、こんなに教師不足だとは思いませんでした。自分たち高校生にとって、先生というお仕事はとても身近なお仕事で、私にとっては、魅力ある仕事なのにな・・・。」
2. 尾木ママのキャリア
当初はジャーナリスト志望。
高校時代、体育教師が生徒を蹴るのを見て「憲法違反です!」と反抗、単位を落とす。
転校時には赤点で2年に編入できず、「1年生からやり直し」と校長に言われる。
その経験から学校や教育のあり方に問題意識を持った。
母の言葉「不登校や非行の子の気持ちがわかるから、直樹はいい先生になれる」
この助言をきっかけに教職を志した。
1年豪徳寺学「尾木先生が先生を目指したきっかけが、教育の問題をなんとかしようと思う気持ちだったと聞いて、とても共感しました。」
3. 教師の魅力とは?
教師の魅力は大きく2つ。
①人の成長・飛躍に立ち会えること
②共育・共同のすばらしさ(教えるだけでなく子どもと一緒に学ぶ姿勢)
和奏「ここでのお話もとても興味深かった。生徒と一緒に成長していけるという魅力は他にはないものだと思いました。」

4. 子どもを枠付け・色を重ねて育む
4人グループで学ぶと効果が高い。
高校入試を全国的に実施しているのは日本だけ。枠にはめる教育が強い。
子ども基本法(2023年施行)
憲法・子どもの権利条約の精神に基づき制定。
「子ども大綱」「子ども計画」、こども家庭庁設置。
子どもの権利条約(1989年採択/日本は1994年批准)
子どもも大人と同じ権利を持つ。
4つの権利:①生きる権利 ②育つ権利 ③守られる権利 ④参加する権利。
生徒指導提要改訂(2022年)
「学校の主人公は子どもたち」。
校則や行事、授業も子ども主体で考える必要がある。
「教師も子どもと一緒に育つ存在」と

豪徳寺「現在の教育の考えにある 生徒を中心に捉えるあり方 にはとても納得しました。先日オンラインでお話をした大阪の泉大津市立小津中学校の生徒たちがまさしくその考え方で学校を作っているなと改めて納得。」

5. 教育における優しさ/厳しさとは
優しさ
叱る=成長を願う/怒る=感情をぶつける。
褒めるとは「認めること」。できていることを具体的に認める。
「訊く・聞く・聴く」など、多様な“きく”姿勢が重要。
わからないことを発表する勇気を評価するのも優しさ。
失敗や苦悩に寄り添い、共感し、成長を信じる姿勢。
厳しさ
人権侵害・差別・いじめを許さない強い姿勢。
子どもの尊厳を守るために必要な筋の通った態度。
和奏「尾木先生の言う優しさと厳しさは、本当に子供の成長というものを考えているものだと思いました。」
6. 大切な3つの教師力
聴く力「どうしたの?」と心で聴く共感力。
やさしさと厳しさ→バランスよく持ち合わせ、支え合う姿勢。
アドバルーンを掲げて前進
*教師が理想や目標=アドバルーンを掲げ、みんなで進む方向を示す。

豪徳寺「先輩たちの尾木先生に向けた質問や感想のてがずっと上がりぱなしでした。先輩の一人が言った「明日も行きたい学校」という考えに心を打たれました。この言葉に尾木先生は、「子供を絶対的に認める文化から生まれるんではないかな。」と。尾木先生の教育に対する思いをしっかり受け継いでいきたいと思いました。」
尾木直樹先生 ありがとうございました。